【インタビュー】哲学カフェで「考える楽しさ」をシェアしたい【エナクトさん】

“哲学ってむずかしいもの?”
そんなイメージをくつがえすような、対話の場「哲学カフェ」。
今回は、そんな場を運営しているエナクトさんにお話をうかがいました。
🗣 インタビュー:エナクトさん(インタビュアー:サヤン)
📅 実施日:6月某日
まずはお名前と、普段のご活動について教えてください。

エナクトと申します。普段は大学院で心理学の研究をしています。論文を読んだり、実験を行ったり、執筆したりするのが本業です。
リベシティの中では、哲学カフェのオフ会を開いたり、体を動かすことが好きなのでスポーツ系のイベントにも参加・主催したりしています。

なるほど、心理学の研究をされているんですね。そういう背景もあって哲学カフェに関わるようになったのでしょうか?

もともと物事を深く考えるのが好きで、自分なりにいろいろと掘り下げてはいたのですが、それを人と話す場があまりなくて…。
最初はチャットで哲学的な話題を共有する場をつくったのですが、文字だけのやり取りでは伝わりづらい部分も多く、やはり“対話”の場が必要だと感じて、哲学カフェのオフ会を始めました。

確かに文字だけだと微妙なニュアンスが伝わりにくいですよね。
実際に顔を見ながら話すことで、より深い対話ができるんですね。
そんな哲学カフェを今回フェスに出店しようと思った理由を教えてください。

哲学カフェはまだまだ馴染みのない方も多いと思うので、もっと多くの人に知ってもらえたら嬉しいなと思ったのがきっかけです。
気軽に参加してもらうことで、自分とは違う価値観に触れ、視野が広がるきっかけになったらいいなと。
僕自身、哲学カフェを通じてたくさんの学びとワクワクを感じてきたので、それを他の人にも体験してもらえたらと思っています。
そして個人的には、さまざまな人の考えに触れ、自分の視点をアップデートする場としても楽しみにしています。

素敵ですね!エナクトさんご自身も新しい出会いを楽しみにされているのが伝わってきます。
今回のフェスでの哲学カフェでは、どのような役割を担当されていますか?

今回はリーダーとして、全体の舵取りをしています。
8名のメンバーで準備を進めていて、イラストやドリンクの準備、ホームページの作成など、皆さんの得意分野に合わせてお願いしています。
僕一人ではとても回らないほどやることが多いので、なるべく多くの方に役割を持って関わってもらえるように心がけています。
「ただついていくだけ」ではなく、一緒につくり上げていくメンバーとして、主体的に楽しんでもらえたら嬉しいなと思っています。

みんなで作り上げていく感じ、とても良いですね。
哲学カフェのおすすめテーマがあれば教えてください。

今、特に気になっているテーマは「動物との関わり方」です。
僕自身、猫を飼っていて、大学では環境についても学んでいたことがあるので、動物と人との関係性について深く話してみたいと思っています。
ペットを飼っている方や、動物に関わる仕事をされている方など、さまざまな視点での対話ができたら面白いと思います。

確かに動物との関係って、人それぞれ全然違う経験や考えを持っていそうです。
他のスタッフメンバーにも、それぞれの「思い入れのあるテーマ」を持ってほしいということですね?

そうですね。自分の生活や体験に関わるテーマは、自然と熱をもって語れるものだと思います。
なので、それぞれの得意なことや興味あるテーマを元に、当日もイキイキとファシリテートしてもらえたらと思っています。

なるほど、体験に根ざしたテーマだからこそ深い対話ができるんですね。哲学カフェは「誰でも自由に話せる場」であることも特徴ですね。

はい。哲学カフェでは「人の意見を否定しない」「攻撃のための発言をしない」というルールをを設けているので、普段は話しにくいことも安心して語れる空気があります。
家族や友人には言いにくいけれど、ここでは気軽にポロッと本音が言える。
そんな“あと腐れのない”コミュニケーションができるのも、哲学カフェの魅力のひとつだと思っています。

「あと腐れのない」という表現、すごく分かります!
身近な人だからこそ言えないことってありますよね。
最後に、「お金の勉強フェス」における哲学カフェの魅力について教えてください。

「お金」は手段であって、その先にある“何を大切にして生きたいか”という目的こそが重要だと思います。
哲学カフェでは、そうした根っこの部分に向き合う対話ができます。
日常ではなかなか立ち止まって考える機会がないテーマにも、ここで向き合うことで、自分自身を見つめ直すきっかけになるかもしれません。

哲学カフェは、日常の忙しさに追われる中で見失いがちな「本当に大切なもの」を見つめ直す貴重な場所です。エナクトさんが大切にされている「人の意見を否定しない」という安心できる環境の中で、普段は言葉にできない想いや疑問を自由に語り合える。それは、まさに現代社会に必要な心の栄養のような存在かもしれません。
お金の勉強フェスという場で哲学カフェを開催することで、表面的な知識やテクニックだけでなく、「なぜお金が必要なのか」「どう生きたいのか」という根本的な問いに向き合うことができる。きっと参加者の皆さんにとって、単なる学びを超えた深い気づきの時間になることでしょう。
エナクトさんとスタッフの皆さんが創り上げる対話の場が、多くの人にとって新しい発見と成長のきっかけとなることを心から願っています。